« アール・デコ調(?)グラス | トップページ | 結婚式! »

「アマルリック・ワルター」(パート・ド・ヴェール)

前回、ドイツから届いたグラスのことについて書きましたが、実は、届いたのはグラスばかりではありません。

フランスのガラス作家、「アマルリック・ワルター」の、「パート・ド・ヴェール」という技法で作られた作品です。

まずは、画像をご覧ください。

Photo

Photo_2

Photo_3

Photo_4

パート・ド・ベール(仏語:Pate de varre、英語:Paste of Gurass)=英語だとイメージしやすいと思いますが、日本語では「ガラスの練り粉」などと訳されるようです。

簡単に書くと、まず作りたいモノの像を成形し、これを基に耐熱性のある石膏等で凹型を作ります。これに粉にしたガラスを植物油等で練ってつくった基材を型に敷き詰め、高温で溶融成型するようです。

紀元前からこの製法は用いられていたようですが、基本的に型を崩さなければならず、大量生産ができないことから、いつしか幻の技法になってしまったようです。

1880年代に、フランスのアンリ・クロが、この技法の復活に成功し、アール・ヌーボー、アール・デコの時代に黄金期を迎えましたが、今も作者として名を残こしているのは5~6名程度でしょうか。各人に、独自の凹型の生成方法、ガラスの粉(粒)の大きさ、粉を練る油等の材質、溶融温度等の秘中の技があったらしいのですが、一子相伝的に扱われたことから、製法自体が、再び、ほぼ全滅状態になってしまいました。現代においては、極限られた作家さんが細々作っているのみで、一定量生産しているのは、フランスのドーム社のみではないかと思われます。

特徴としては、①つくりたい形に造形できる、②思った場所に好きな色を配置できる、③練り粉内に内包された空気の関係か、独特の質感・(不)透明感が得られる、などでしょうか。

アマルリック・ワルター(仏語:Amalric Walter=Almaricという表記もたまに見ますが、今回は信頼する「北澤美術館」さんにならいました。)

生誕年は諸説あるようですが、セーブルに生まれ、セーブル国立陶芸学校でこの技法を学んだ後に、紆余曲折あって、1909~1914年の間、ドーム社にて製作を行い、後に独立して作品を作り続け、1940、50年代に没したようです。(没年も諸説あるようです。)

今回の作品は、計6cm程度で、ワルターの作品としては、最も小さい部類に入ります。モチーフは甲虫、たぶんスカラべ(ふんころがし)ではないかと見ています。

4枚目の写真の黄色の台座に「A.Warter Nancy」とありますので、独立後の作品だと思われます。(ドームのサインがある作品も手元にありますので、たぶん、間違いないと思います。)

ワルターは、自ら原型を作らず、複数の作家に製作を依頼していたようですが(デザインだけ依頼したとの文献もあり)、この作品は、おそらくアンリ・ベルジェ(Henri Berge)と思われます。しかし、通常あるはずの「Berge」のサインが見当たりませんでした。サインも型なので、作品によっては判読できないものも見受けられます。作風からすれば、ベルジェに間違いがないと信じています。

小生が、初めてワルターの作品を観たのは、たぶん20年以上前、諏訪の北澤美術館だったと記憶しています。圧倒的なガレやドームの作品に深い感銘を受けたのですが、何故か最も心に残ったのは、今回のような昆虫や魚、小動物等をモチーフにしたワルター(&ベルジェ)の作品達でした。

こつこつと集め続け、今回の作品がやっと4点目となりました。手持ちの作品と比すれば、小品であることは否めないのですが、購入の決断に到る自分好みの作品が少ないこと(無い事はないのですが、小生には高価過ぎます。)、思ったより安価に入手できたことから、とても満足をしています。

今回はちょっとだけディープな内容となってしまいましたね。反省!

|

« アール・デコ調(?)グラス | トップページ | 結婚式! »

ガラス」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/558830/55175344

この記事へのトラックバック一覧です: 「アマルリック・ワルター」(パート・ド・ヴェール):

« アール・デコ調(?)グラス | トップページ | 結婚式! »